新人営業マンこそ「自撮りロープレ」をやった方がいい。自分の営業を客観視するということ
新人のうちからぜひやってほしいと思っていることがあります。
それが、自分一人でロープレをして、その様子をスマートフォンで撮影すること。
いわゆる「自撮りロープレ」です。
「一人でしゃべって、それを撮影するんですか?」
はい、そうです!
そして、撮った動画を自分で見返します。
おそらく、初めてやった人の多くはこう思うでしょう。
「うわ、自分ってこんな感じなんだ……。」
「声が思っていたものと違う。気持ち悪い。」
「姿勢が悪い。思ったより早口。目線がおかしい。」
「手の動きがぎこちない。笑顔のつもりなのに、全然笑って見えない。」
最初はかなり違和感があると思います。
でも私は、その違和感こそが、自撮りロープレをやる大きな意味だと思っています。
自分の営業を、自分だけが見たことがない
少し不思議な話ですが、多くの営業マン本人は毎日のように接客しているにもかかわらず、
自分が接客している自分の姿をほとんど見たことがありません。
でも、お客様は見ています。
上司が同席していれば、上司も見ています。
隣に先輩がいれば、先輩も見ています。
それなのに、自分だけが見ていない。

自分が認識できるのは、
「こう話した」
「こう説明した」
「笑顔を意識した」
「大きな声で話した」
という、自分の内側から感じた感覚です。
一方で、お客様が見ているのは、
実際に外側へ現れたあなたの姿です。
この二つは、必ずしも一致しません。
「やっているつもり」と「そう見えている」は違う
例えば、本人は、
「お客様から信頼を得られるように。」
と思って、落ち着いて話しているつもりだったとします。
ところが動画を見ると・・・
声が小さい。表情が硬い。目線が下がっている。猫背になっている。
その結果、
「落ち着いている」というより、「自信がなさそう」に見えている。
逆もあります。
「元気よく話そう。」
と思って声を張っていたら、動画では必要以上に声が大きく、少し圧が強く見える。
「熱意を伝えよう。」
と思って身振り手振りを増やしたら、落ち着きなく手を動かしているように見える。
本人の意図は正しいのです。
問題は、その意図が、相手にも同じ意味として届いているとは限らないこと。

ここに自撮りロープレをする大きな意味があります。
お客様が見ている「あなた」を見る
自撮りロープレで確認したいのは、
「トークを間違えなかったか」
だけではありません。
むしろ、それ以上に見てほしいのが、自分は相手から自分がどう見えているのか。
という部分です。

例えば、
- 思っていた以上に猫背で、自信がなさそうに見える
- 手の動かし方が不自然で、ぎこちない
- 説明中ずっと目線が下を向いている
- 思った以上に無表情
- 相槌が毎回同じ
- 「えー」「あのー」が異常に多い
- 話すスピードが速すぎる
- 語尾が小さくなって聞き取りにくい
- 真剣に聞いているつもりなのに、怖い顔になっている
- 身体がずっと揺れていて落ち着きがない
こうしたことは、誰かから指摘されるまで気づかないことがあります。
しかし、動画なら一発で分かります。
なぜなら、
普段お客様が見ている自分を、自分自身が見ることになるからです。
トークを覚えただけでは、接客は完成しない
新人研修では、どうしても「何を話すか」に意識が向きます。
住宅ローンをどう説明するか。
ヒアリングで何を聞くか。
物件をどう提案するか。
お客様からこう言われたら、どう返すか。
もちろん、全部大切です。
ただ、営業は台本を読み上げる仕事ではありません。
同じ、
「こちらの物件はいかがでしたか?」
という一言でも、
笑顔で相手の目を見ながら聞くのと、資料を見ながら無表情で聞くのでは、
お客様が受ける印象は全く違います。

だから、
「何を言うか」と同時に、「どう言っているか」を練習しなければいけない。
その「どう言っているか」を確認する最も簡単な方法が、自撮りです。
自撮りなら「自分の癖」を何度でも確認できる
上司とのロープレには、大きなメリットがあります。
第三者からフィードバックをもらえることです。
「もう少しゆっくり話した方がいいよ。」
「語尾が聞き取りにくいから言い切った方がいい。」
「落ち着きがない様に見えるから、手はあまり動かしすぎない方がいい。」
こうした指摘は非常に重要です。
ただ、上司に言われたことと、自分自身で見て気づいたことでは、納得感が違います。
例えば上司から、「ちょっと早口だね。」と言われても、
本人としては、「そんなに早いかな?」と思うことがあります。
でも、自分の動画を見れば分かります。
「いや、めちゃくちゃ早いな!」
となる。

この差は大きいです。
他人から言われた改善点ではなく、自分自身が発見した改善点になるからです。
「150%」くらいやってみる
自撮りロープレでもう一つやってほしいことがあります。
それは、一度、極端にやってみること。
例えば、
普段よりボディジェスチャーを大きくしたいのであれば、
「少し大きくしよう。」
ではなく、
「150%くらい大げさにやってみよう。」
くらいで構いません。
そして撮影します。
次に、30%くらいまで抑えて撮影してみる。
それぞれを見比べます。
すると、
「150%くらいでやったつもりなのに、動画で見ると意外と普通だな。」
ということがあります。これは本当によくあります。
本人としては、
50%くらい動きを大きくしたつもりでも、外から見れば、10%も変わっていない。
そんなこともあります。
自分の感覚だけで「ちょうどいい」は見つけられない
なぜ極端にやってみるのか。理由はシンプルです。
自分の中だけで「これくらいかな」と調整していても、基準そのものが自分の主観だからです。
50%。
100%。
150%。
一度振り幅を作って動画で比較する。
すると、
「自分の場合は、今までより何%くらい大きくやった方が伝わるんだ。」
という基準が見つかります。

これは、
声量でも、話すスピードでも、笑顔でも、相槌でも、ジェスチャーでも同じです。
自撮りは、自分の表現力の“適正値”を探す実験でもあるのです。

撮りたくない。それが普通です
ここまで読んで、
「なるほど。じゃあ今日から毎日撮ろう!」
と思える人ばかりではないでしょう。
むしろ、
撮りたくないと思う方が普通です。
面倒くさい。
一人でカメラに向かって話すのが恥ずかしい。
自分の動画を見るのが嫌だ。
自分の声を聞きたくない。
できていない自分を見るのが怖い。
営業マンがロープレを避ける背景には、単なる面倒くささだけでなく、自分の未熟さを見せる羞恥心や、指摘されることへの抵抗は、間違いなくあります。

自撮りの場合、他人から指摘されることはありません。
その代わり、自分で自分の現実を見ることになります。
これも、なかなか嫌なものです。
でも、現実を見ない限り修正できない
ここは少し厳しい話をします。
動画を撮らなければ、
自分の猫背を見なくて済みます。
早口な自分も見なくて済みます。
ぎこちない自分も見なくて済みます。
だから、気持ちは楽です。
でも、お客様には、その姿が毎回見えています。
自分が動画を見るか見ないかに関係なく、お客様は本番となる現場であなたを見ています。

だったら、お客様の前で初めて問題になるより、
練習中に自分で見つけてしまった方がいい。
ロープレは、失敗していい場所です。
言葉に詰まってもいい。
変なジェスチャーになってもいい。
説明を間違えてもいい。
何度でも撮り直せます。

本番のお客様相手ではできない失敗を、先に全部やっておく。
そのための練習です。
新人こそ「自分で改善できる営業マン」になってほしい
自撮りロープレには、もう一つ大きなメリットがあります。
それは、上司がいなくても、自分で練習できることです。
営業マンの成長を、
「上司が時間を作ってくれたときだけ」
にしてしまうと、練習量には限界があります。
でもスマートフォンなら、一人でできます。
10分でもいい。一つのトークだけでもいい。
撮る。見る。一つ改善点を決める。
もう一度撮る。また見る。
これを繰り返せます。
おそらく最初は、
見たくないものもたくさん見つかると思います。
でも、それでいいのです。
見つけられた癖は、直せます。
気づいた弱点は、練習できます。
そして、昨日より一つ改善して、もう一度撮る。
その繰り返しが、少しずつ、
「自分が思っている自分」と「お客様から見えている自分」の差を縮めていきます。
自撮りロープレをやる一番の理由は、そこにあると私は思っています。