これまで研修の中では、「予算設定は最初に行うことが大切」と何度も伝えてきました。
しかし、実際に現場へ出ると、多くの新人営業マンが同じ壁にぶつかります。
「予算設定が大事なのは分かっている。でも、どのタイミングで話を切り出せばいいのか分からない。」
この悩みです。
唐突に予算の話を始めると、お客様は身構えてしまいます。
逆に雑談ばかり続けてしまうと、本題に入れません。
結果として、
- 予算設定ができない
- 事前審査につながらない
- 条件整理ができない
という状態になり、その後の営業全体が進まなくなってしまいます。
そこで生まれたのが、mkホーム独自の「3つのつまずきトーク」です。
このトークは、単なる台本ではありません。
予算設定やローン事前審査、条件選定という本題へ、お客様を自然に導くための”前振り”として設計された営業プロセスなのです。
この記事では、
- なぜこのトークが作られたのか
- 本当の目的は何なのか
- 現場でどのような役割を果たしているのか
について解説していきます。
「3つのつまずきトーク」は最初から存在したわけではない
実は、このトークは昔からあったものではありません。
現場で起きていた新人の課題をもとに2025年に新たに作られました。
当時、新人営業マンの様子を見ていると、ある共通した問題がありました。
それは、
「予算設定が大切」ということは理解しているのに、そこへ入っていけない。
ということです。
予算設定そのものは覚えている。
しかし、
- どのタイミングで話すのか
- どんな流れで切り出すのか
- お客様にどう納得してもらうのか
この部分が抜け落ちていました。
その結果、いきなり
「では予算のお話をしましょう。」
と切り出してしまったり、
逆に遠慮してしまい、最後まで予算の話ができなかったりするケースが非常に多く見られました。
つまり問題は、
予算設定のトークではなく、予算設定へ入るまでの導線が存在しなかったことだったのです。
営業には「流れ」がある
「3つのつまずきトーク」という名前だけを聞くと、
「お客様が失敗しないための話」
という印象を持つかもしれません。
もちろん、それも目的の一つです。
しかし、一番大きな目的はそこではありません。
このトーク最大の役割は、その後に行う予算設定を成功させること、事前審査を任されることです。
新人営業マンが現場で苦戦する理由の一つは、「何を話すか」は覚えていても、「なぜその順番なのか」を理解していないことです。
営業では、それぞれのトークを単独で覚えても成果にはつながりません。
重要なのは、どの順番で話すか。ということです。
例えば、
極端な話、名刺交換をした直後に、住宅ローンの話。事前審査の話。個人情報の話。
これらを突然始めたら、多くのお客様は驚いてしまいます。
営業マンからすると必要な話でも、
お客様からすれば、
「まだそこまで話す段階なの?」
と感じるでしょう。
だからこそ、その前に、
- なぜ予算を決める必要があるのか
- なぜ最初に整理する必要があるのか
- 予算を決めずに探すと何が起きるのか
これらを自然に伝える必要があります。
その役割を担っているのが、「3つのつまずきトーク」です。
つまり、このトークは本題そのものではありません。
本題を成立させるための前振りなのです。
このトークによって、
お客様は、
「なるほど、だから予算を決める必要があるんですね。」
という状態になります。
つまり、
予算設定そのものよりも、
予算設定を”聞く耳”を作ること。
それが、このトーク最大の役割なのです。
お客様が同じ失敗を繰り返さないために
このトークには、もう一つ大切な目的があります。
それは、
お客様が「迷い続けるループ」に入らないようにすることです。
現場では、
何十件も物件を見ているのに、
何年経っても購入できていないお客様が少なくありません。
その理由は、物件が悪いからではありません。
判断するための基準がないからです。
例えば、
- 予算が決まっていない
- 優先順位が整理できていない
- 住宅ローンの準備をしていない
この状態で物件を見続けると、
「これも良い。」
「あれも良い。」
「でも決められない。」
という状態を繰り返します。
結果として、2年、3年と探し続けても購入できないケースは、本当に珍しくありません。
だからこそ、「3つのつまずきトーク」では、
これからの案内を
「ただ物件を見る時間」
ではなく、
「購入できる状態を作る時間」
に変えていくことを、お客様へ最初に伝えています。
事前審査や条件整理への”前振り”にもなっている
このトークは、予算設定だけのために存在しているわけではありません。
実は、その後に続く営業プロセス全体の土台にもなっています。
例えば、
- 住宅ローンの事前審査
- ご家族構成
- 希望条件
- 優先順位
- 購入時期
これらは、お客様にとって少し踏み込んだ内容です。
もし何の説明もなく、
「事前審査をやりましょう。」
「ご希望の間取りは?」
「ご年収を教えてください。」
と言われたら、多くのお客様は戸惑います。
しかし、事前に
「住宅購入では、最初に準備を整えておくことが大切なんです。」
という話をしておけば、
その後の会話は自然につながります。
つまり、「3つのつまずきトーク」は、
これから行う一つひとつの営業プロセスを、
お客様が納得して受け入れられるようにするための土台なのです。
実は、このトークだけでヒアリングも始まっている
もう一つ、このトークには重要な役割があります。
それは、
ヒアリングの入り口になることです。
トークの中では、
自然な流れで、
- 何人で住む予定なのか
- 事前審査の経験はあるか
- 譲れない条件は何か、絶対にNGな条件は何か
など、多くの情報を聞くことができます。
つまり、
営業マンは「質問している」という感覚ではなく、
会話をしながら自然に情報を集められるようになります。
例えば、
「5人で住む予定です。」
という話になれば、
「お子様は何歳なんですか?」
「学校の関係もありますか?」
「スポーツとかされていますか?」
というように、自然と会話は広がっていきます。
こうした雑談のような会話こそが、
信頼関係を築くきっかけになります。
「脱線」は失敗ではなく、むしろ成功
新人営業マンの中には、
「話が横道にそれてしまいました。」
と反省する人がいます。
しかし、この3つのつまづきトークに関しては、それは間違いです。
むしろ、脱線している状態の方が理想です。
なぜなら、お客様が会話をしてくれている証拠だからです。
営業は、一方的に説明する仕事ではありません。
会話を通じて、お客様の価値観や背景を知る仕事です。
だから、
家族の話。仕事の話。子どもの話。趣味の話。今住んでいる地域の話。
こうした話に広がることは、営業として非常に価値があります。
もちろん、本題となるトークに戻ることは必要です。
しかし、
最初から最後まで台本どおりに話し切ることが目的ではありません。
このトークは、
お客様との会話を広げるためのきっかけでもあるのです。
話し切ることが目的ではない
新人営業マンほど、
「最後まで全部話さなければ。」
と思いがちです。
しかし、それは違います。
「3つのつまずきトーク」は、
最後まで一字一句間違えずに読み上げることが目的ではありません。
本当に大切なのは、このトークをきっかけに、
お客様が、
- 予算設定の必要性を理解し、
- 住宅ローンの話を受け入れ、
- 条件整理へ進み、
- 本音を話してくれる状態になることです。
つまり、ゴールはトークではありません。
ゴールは、その後の営業プロセスをスムーズに進められる状態を作ることです。
この認識を持っている営業マンほど、
トークに縛られません。
お客様との会話を楽しみながら、自然な流れで本題へ導けるようになります。
おわりに
営業では、一つひとつのトークに必ず役割があります。
「3つのつまずきトーク」も例外ではありません。
このトークは、お客様を説得するためのものでも、知識を披露するためのものでもありません。
これから始まる営業全体の流れを、自然につなぐための”道筋”です。
だからこそ、話し方も重く構える必要はありません。
大切なのは、お客様との会話を楽しみながら、信頼関係を築き、その先にある予算設定や条件整理へ自然につなげていくことです。
このトークを「一つの説明」として覚えるのではなく、
営業全体を前に進めるための”前振り”として理解すること。
この「前振り」という概念・考え方は、今後の研修現場で何度も出てくるポイントになります。
そのくらい、この不動産売買仲介営業で必要なテクニックです。
この意識を持つだけで、同じトークを話していても、お客様の反応は大きく変わってきます。
営業は、いきなり本題に入る仕事ではありません。
お客様が安心して本題に入れるよう、道を整えることも営業の大切な役割なのです。
