会社は何を見て新人を評価しているのか?最初に任されるお客様には理由がある。

ロープレを重ね、不動産仲介営業としての基礎知識を身につける。

会社から「そろそろ現場に出ても大丈夫だろう」と判断されると、
いよいよ実際のお客様を接客することになります。

しかし、ここで多くの新人営業マンが疑問を抱きます。

「なんか、思っていたお客様と違う…。」
「なんだか難しいお客様ばかり担当している気がする。」
「研修で練習してきたようなお客様が全然来ない。」

その感覚は、大凡間違っていません。

そして、それには会社として明確な理由があります。

今回は、新人営業マンが最初に知っておいてほしい、

「会社はどのような考えであなたに案件を割り振り、何を基準に新人営業マンを評価しているのか」

について解説します。


最初から「決まりそうなお客様」は任されない

少し考えてみてください。

例えば、

・5,000万円の新築住宅
・ファミリー世帯
・住宅ローンも問題なさそう
・購入意欲も高い
・問い合わせ内容を見ても契約になる可能性が高い

このようなお客様がいたとします。

 

もしあなたが会社を経営する立場だったら、このお客様を誰に担当してもらいたいでしょうか。

もちろん、営業経験が豊富で、契約までしっかり導ける営業マンに任せたいと考えるはずです。

当たり前ですが、会社もビジネスです。
サークル活動でも、ボランティア団体でもありません。

契約になる可能性が高い案件ほど、契約率の高い営業マンへ任せるのは自然な判断です。

新人営業マンだから能力が低いと決めつけているわけではなく、
会社として、最も契約になる可能性が高い配置を考えた結果なのです。

だからこそ、新人営業マンが営業現場へ出た直後に担当するお客様は、研修を通してイメージしていたお客様とは少し違う可能性があります。

まず、この前提を理解しておいてください。


最初に担当するお客様には3つの特徴がある

では、実際にどのようなお客様を担当することが多いのでしょうか。

もちろん例外はありますが、多くの場合、次のような特徴があります。

① 比較的単価が低い案件

まず多いのが、価格帯の低い物件です。

例えば、

・500万円〜1,000万円前後
・比較的価格の安い中古住宅

このような案件です。

もちろん、どんな価格帯の物件であれ、その物件を見学にこれらたお客様にとっては、
大切な住宅購入の検討であることには変わりありません。

しかし会社全体で考えた場合、5,000万円の新築住宅と比較すると、
一件あたりの売上規模は大きく異なります。

例えば5,000万円の新築住宅であれば、会社として数百万円規模の売上になる可能性があります。

一方、1,000万円未満の物件では、その数分の一になります。

だからといって「どうでもいい案件」という意味では決してありません。
会社としても当然大切なお客様です。

どのお客様に対しても変わらず誠心誠意、ご案内します。

しかし、「新人営業マンの育成」という視点で考えると、
低単価のお客様は比較的新人へ任せやすい案件であることも事実です。


② 投資家のお客様

次に多いのが、投資家のお客様です。

ここは今まで研修で学んできた住宅購入とは少し考え方が変わります。

これまで皆さんが学んできたのは、

「自分が住む家を購入するお客様」

でした。

一方、投資家は違います。

自分が住むためではなく、

「資産運用のために不動産を購入する」

という考え方です。
つまり、自分が住むためではない、完全に「お金」「利益」のために家を買おうをしている人です。

そのため、

・利回り
・収益性
・将来の資産価値

こうした視点で物件を判断し、一般的な住宅購入とは判断基準が大きく異なります。

また、投資物件は比較的価格帯が低いものも多く、

500万円〜1,000万円前後の物件を検討しているケースも少なくありません。

つまり、今まで練習してきた営業とは、少し違う種類のお客様に出会う可能性があります。


③ 少し難易度の高い案件

そしてもう一つが、契約難易度が高いと判断している案件です。

例えば、

・外国籍でコミュニケーションが取りにくいお客様
・勤め先や年収などの条件により住宅ローンの審査が厳しくなりそうなお客様
・購入意欲が明らかにまだ低いお客様
・電話やメールでの反応を見る限り、契約まで時間がかかりそうなお客様
・何かしら問題や一筋縄では行かないような事情を抱えてそうなお客様

もちろん、こうしたお客様が購入できないという意味ではありません。

しかし、一般的な案件と比べると、契約までの難易度が高いケースがあります。

そのため、新人営業マンが最初に担当する可能性があるお客様の一つと言えるでしょう。


難しいのは、お客様だけではない

さらに理解しておいてほしいことがあります。

難しいのは、お客様だけではありません。

低価格帯の物件は、物件自体にも何らかの課題がある場合があります。

例えば、

・再建築不可
・接道義務を満たしていない
・違法増築がある
・建物に傾きがある
・築年数が40年以上と古い
・明らかに痛みが激しい
・その他、何らかの注意点を抱えた物件

こうした物件では、お客様も慎重になります。
住宅ローンの審査にも影響することがあります。

つまり、

お客様も難しい。
物件も難しい。

その両方が重なるケースも少なくありません。


なぜ特殊案件を研修で練習しないのか

ここまで読んで、

「だったら最初から難しい案件を研修で練習した方がいいのでは?」
「研修で練習した内容と違うじゃないか」

と感じるのは当然であり、そう思った方もいるかもしれません。

確かに、その考え方もあります。

しかし、会社が研修で重点的に教えているのは、そこではありません。

理由はシンプルです。

会社に一番多く来るお客様の層ではないからです。

例えば、会社が毎月100件の反響をいただくとします。

そのうち、

・外国籍のお客様
・投資家のお客様
・住宅ローンが非常に厳しいお客様
・特殊な事情を抱えたお客様

こうした案件は、もちろん存在します。

しかし割合としては、多くありません。

一方で圧倒的に多いのは、

・2,000万円〜3,000万円台前後
・ファミリー世帯
・住宅ローンを利用する
・自分たちが住む家を探している

こうした一般的な住宅購入のお客様です。

つまり、これらの層が会社へ来る反響のボリュームゾーンです。

だから研修では、このボリュームゾーンを徹底的に練習します。

野球で例えるなら、
毎試合必ず飛んでくるゴロやフライを練習せずに、
10試合に一度あるかどうかの珍しいプレーばかり練習するようなものです。

確かに、そのようなケースを練習しておくことに意味はありますが、
それでは本番で通用しません。

だからまずは、一番多く担当する可能性があるお客様への営業を身につける

これが研修と現場の考え方です。

この違いを理解しておいてください。


契約件数だけで新人を評価しているわけではない

では、少し難しい案件を任された新人営業マンに対して、
会社は何を見ているのでしょうか。

もちろん、契約になれば嬉しいです。

買付が取れれば会社としても評価します。

しかし、新人営業マンに対して最初から

「契約数だけ」を求めているかと言われれば、
私はそうではないと思っています。

むしろ会社が見ているのは、

その一組のお客様に対して、どこまで本気で向き合ったのか。

ここです。


難しいお客様だからこそ、営業の姿勢が見える

例えば、住宅ローンが難しいお客様だったとします。

その時、

「この人はローン通らなそうだから無理ですね。」

そう判断して終わる営業マンもいます。

外国籍だから。
価格が安いから。
難しい物件だから。
買う気が薄いから。

そうやって最初から線を引いてしまう営業マンもいます。

でも、会社が見ているのはそこではありません。

そのお客様に対して、
どれだけ購入できる可能性を考えたのか。
どれだけ行動したのか。

そこを見ています。


会社が見ているのは「結果」だけではない

例えば、

追客のメールは送ったのか。
電話はしたのか。
アポイントを取ろうとしたのか。
実際に会いに行ったのか。
案内後に再案内へつなげようとしたのか。
資料は送ったのか。
お客様が購入できる方法を考えたのか。
上司へ相談したのか。

住宅ローンが難しいなら、他の金融機関はないのか。
自己資金の準備方法はないのか。
親御様からの援助は考えられないか。
購入できる方法を最後まで考えたのか。

こうした一つひとつの行動を会社は見ています。

つまり、

「このお客様は難しいから仕方ない。」
「投資家は話を聞いてくれないから無理。」

ではなく、

「難しいお客様に対して、自分は何をしたのか。」

そこが評価されています。


「諦める営業」には、大きな案件は任せられない

会社の立場で考えてみてください。

500万円の物件を担当した時に、

少し難しいという理由だけで途中で諦めてしまう営業マン。

その営業マンに、

5,000万円の新築住宅を安心して任せられるでしょうか。

おそらく難しいと思います。

逆に、

契約にはならなかったとしても、
最後までお客様と向き合い、
何度も連絡を取り、
上司へ相談し、
考えられる方法をすべて試した営業マン。

この営業マンなら、

「次はもう少し大きな案件を任せてみよう。」

そう思ってもらえるはずです。

会社は、契約件数だけでなく、
営業としての姿勢を見ています。


一件一件が、次のチャンスにつながる

新人営業マンが担当する最初のお客様。

それは単なる一件ではありません。

会社からすると、

「この営業マンは、どんな仕事をする人なのか。」

を見るための一件でもあります。

難しい案件だからこそ、
その営業マンの本質が見えてきます。

途中で諦めるのか。
最後まで可能性を追い続けるのか。
報告・相談をしながら進めるのか。
お客様のために行動できるのか。

こうした積み重ねが、次の案件につながります。

そして、結果的に契約が
一件、二件、三件と積み重なれば、

当然会社から任される案件も変わっていきます。

より価格帯の高い物件。
より契約の可能性が高いお客様。
責任の大きな案件。

それらは突然与えられるものではありません。

一件一件の積み重ねによって、少しずつ任されるようになるのです。


まとめ

新人営業マンが最初に担当するお客様は、決して簡単な案件ばかりではありません。
練習を重ねてきたような案件ばかりではありません。

単価が低い案件。
投資家のお客様。
住宅ローンや物件に課題を抱えた案件。

そうしたケースに出会うことも少なくありません。

しかし、それは会社があなたを期待していないからではありません。

会社は、その一件を通して営業マンとしての姿勢を見ています。

難しいからと最初から諦めるのか。

それとも、

お客様が購入できる未来を本気で考え、最後まで向き合うのか。

その違いが、次に任される案件を大きく左右します。

だからこそ、最初に与えられる一件一件を軽く考えないでください。

その一件は、お客様にとって人生を左右する住宅購入であると同時に、あなた自身の営業人生を左右する一件でもあるのです。